渋谷のオーチャードホールへ、小山実稚恵さんのピアノを聴きに行きました。
『小山実稚恵の世界』というタイトルで、12年間・24回の壮大な計画があり、
私は、2年前の秋の第4回以来の参加です。
毎回提示されるテーマカラーは、明るい水色。
ステージにも、ブルーを基調とした花が飾られていました。
今回は第8回、~変奏の夢~というテーマで、
変奏曲を5曲聴けるとても珍しい機会となりました。
変奏曲は、短い主題から、短調になったり長調になったり、
リズムが変わったりする短い曲をつなげて進んでいきます。
私は、5曲中4曲の楽譜を持っているので
前日は楽譜を開いて曲を思い出したりもしました。
さて、ブルー系の衣装で登場したロングヘアーの小山さん、
一曲目の『アベッグ変奏曲』(シューマン)を静かに弾き始めます。
この曲は、私が中学生の頃だったでしょうか、
学生音楽コンクールの課題曲だった時に、
一人で銀座のヤマハホールに出かけて
中学生の演奏を何回も何回も聴いたことがあります。
語呂合わせ風にABEGG(ラシ♭ミソソ)で始まることで有名な曲で
嵐のような音階が出てきたかと思えば、
ラグタイム風の曲調になったり、変化に富んだ曲で聴き応えがありました。
二曲目、モーツァルトの『ソナタ 第11番(トルコ行進曲つき) イ長調 K.331』は
ピアノ学習者の目標となる曲でもあります。
モーツァルトの変奏に対する引き出しの多さに今回も感服しました。
そういえば、作曲家が変奏曲を作ってアイディアに困ったら、
モーツァルトの案を拝借する・・・という話を読んだことがあります。
やはりモーツァルトの『きらきら星変奏曲』もすごいですね~。
続く『厳格な変奏曲 ニ短調 作品54』はメンデルスゾーンの曲。
厳かな宗教音楽のような主題で始まり、1変奏16小節という厳格な形式で
最後の第17変奏のみ、長い小節数で書かれています。
社会人になってから、私にとって5人目の先生にこの曲を習ったことがあります。
このたび楽譜を見返したのですが、
残念ながら、主題以外はまったく覚えていませんでした。
今回、生で演奏を聴いて、技術的にも曲調的にも
こんなにもたくさんの要素を含んだ名曲であることを知り、
会場に足を運んだ甲斐がありました。
ここで休憩。窓際で赤ワインを一杯飲みました。
休憩明けは、ベートーヴェンの『ソナタ 第12番 変イ長調 作品26「葬送」』です。
全4楽章のうち、第1楽章、第2楽章を
一番最初に教わった先生の指導で弾いたことがあります。
私の楽譜に書かれた先生の指示は、どういう風に弾けばよいのか、
今すぐに再現できることが分かりました。
厳しい先生でしたが、書いてあることは一つ一つ納得がいきます。
ソナタを習っていた頃を昨日のことのように思い出しながら、
身を乗り出すようにして聴きました。
プログラムのトリは、『コレッリの主題による変奏曲 ニ短調 作品42』。
ロシアからアメリカに渡ったラフマニノフによって作曲されたそうです。
それぞれの変奏につけられたタイトルは、孤独や死を思わせるもので
暗い雰囲気が満ちていました。
私は初めてこの曲を聴きましたが、せっかくのソロコンサートですから
こうした重い曲を聴くことができてよかったです。
5つの変奏曲。
小山さんは、作曲家の持ち味をしっとりと力強いタッチで
見事に表現されていたように思います。
盛大な拍手ののち、なんと、アンコールが3曲もありました。
ラフマニノフ 『13の前奏曲 ト短調 Op.32-5』は、
繊細なアルペジオが印象に残る曲です。
ショパン『ワルツ 第8番 Op.64-3』。
初めて聴く曲でしたが、ショパンらしいきれいなメロディで
最後の音階を弾いているときに、どこからともなく
「すてき~」という声がして、大きな拍手が起こりました。
そして、『華麗なる円舞曲』もショパンです。
小山さんの優雅な印象とよく合う一曲でした。
このコンサートにて、12年間の企画の3分の1が終了したことになります。
まだまだ面白いテーマで聴く機会はありそうです。
またいつか、お邪魔いたします。
最近のコメント