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2006年12月19日 (火)

『舘野 泉ピアノ・リサイタル アンコール公演』(12/19 東京オペラシティコンサートホール)

クリスマスのイルミネーションが光る東京オペラシティ

前から行きたかったピアニストの演奏を聴きに行きました。

 

舘野 泉(たての いずみ)さんは、フィンランドをベースに活動する

著名なピアニストだったのですが、2002年に脳溢血のため

ステージ上で倒れ、右手でピアノを演奏することができなくなりました。

 

しかし、左手だけで演奏するピアニストとして復活し、

本やテレビでも紹介され、一度生の演奏を聴きたいと思っていました。

詳しい経歴は、ジャパン・アーツホームページをご参照ください。

 

「左手だけで演奏が可能なのだろうか?」という私の中の問いに対して

ペダルを活用し、右手で音を伸ばしているように聴かせる。

・通常右手と左手で役割を分担するところ、左手の5本の指でそれを行う。

という予想を立て、鍵盤の見える座席に座りました。

 

以下、曲ごとに特徴があったので曲名入りで感想を書きます。

 

●吉松 隆:アイノラ抒情曲集 Op.95(舘野 泉に捧げる)

キャンドルの炎の向こうにフィンランドの森が見えるような音楽。

左手だからといって、低音だけを使うだけでなく

きれいな高音を曲に取り込んでいました。

時々、左手の響きを補うように右手で音を添えていました。

 

●スクリャービン:左手のための2つの小品 Op.9

2曲目がショパンの”英雄ポロネーズ”のように音が飛び、

激しい曲調が見事に表現されていました。

 

●末吉保雄:土の歌・風の声(舘野 泉の左手のために)

曲が始まった途端、拍子のない音楽ということに気づきました。

不穏な和音や音階が鳴り響くドラマチックな曲です。

前衛的なモダンダンスに適しているかもしれません。

 

ここで休憩時間。

CD売場に”土の歌・風の声”の楽譜があったので、

拍子を確認したところ、やはり予想通りの楽譜でした。

譜読みだけでも難易度が高いので

私はフィンランド風を期待して

”タピオラ幻景”(吉松隆作曲)の楽譜を買いました。

 

●バッハ(ブラームス編):シャコンヌ ニ短調 BWV1004より

名曲!さすがバッハです。

クラシックを聴いた、という満足感にひたりました。

この曲以降、右だ左だと考えることが意味のないことに気づきます。

 

●谷川賢作:スケッチ・オブ・ジャズ(私の好きな一人のピアニストに)より

クラシックだけでなく、ジャズも弾いてしまいます。

低音がベースのように聴こえてきました。

 

●吉松隆:ゴーシュ舞曲集 Op.96(舘野 泉に捧げる)

ロック/ブルース/タンゴ/ブギウギ の4曲を演奏。

タンゴでは、リズムを刻む伴奏とメロディーの位置が離れていたのと、

リズムが複雑なのとで、聴いた以上に難易度が高い印象を受けました。

ブギウギはグリッサンド(手の表で鍵盤をダラララララっと弾く奏法)が出たり

速いスピードでたたみかける曲が格好よい!

曲が終わるか終わらないうちに、盛大な拍手が起きました。

 

<<アンコール>>

●カッチーニ:アヴェ・マリア

コード進行が独特の哀愁のある映画音楽のようでした。

 

●シュールホフ:アリア

♪ねんねん おころり・・・を思わせるメロディーで始まるアリア。

2曲とも初めて聴く曲です。

 

演奏会が終わり、最初に私が立てた予想

実際にこの目で確かめることができたと思います。

 

クラシックピアノの世界では、右手で流暢な演奏をするために

ハノンやツェルニーの練習曲を一年中練習することが多いのですが

左手で同様のことをしようとしたら、左手のための同じような練習が

もう一度必要なのではないかと思います。

 

よって、今日の演奏会は、ピアノでありながら

まったく別の楽器の演奏を聴いた気がします。

 

そして、出来なくなったことをクヨクヨするのではなく、

工夫と努力をすることの素晴らしさを知ったよい演奏会でした。

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コメント

はじめましてー。
足あとからたどってまいりました。
曲ごとのとても適切なご感想で、クラシックにあまり素養のないの私にとっても大変参考になりました。

アンコールで弾かれたカッチー二の「アヴェ・マリア」はもともと声楽曲のようで、私が聴いたのは歌詞が全曲にわたって繰り返される<アヴェ・マリア>、そして最後の<アーメン>のツーワードだけというとても印象的な小曲でしたが、ピアノで聴いたのは私も初めてでした。

今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: hico1 | 2006年12月20日 (水) 13:57

>hico1さん
はじめまして。コメントをありがとうございます。

いつもコンサートの後には感想をアップしているのですが
今回は曲ごとにまとめたいなーと思うような充実の内容でした。

「アヴェ・マリア」もよかったです。なるほど歌があるのですね。
いろいろな国の人の曲を音楽性豊かに弾くピアニストだと思いました。

ここのブログはhico1さん世代の方も読んでくださっていますので
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

投稿: ようこ | 2006年12月20日 (水) 15:23

ようこさん、こんばんは。

舘野 泉さんは、
以前、テレビで紹介されていましたね~
オイラも 観ましたよ
ピアノを左手のみで演奏する演奏家

それにしても すごい~(^^ゞ

投稿: ゲン兄ちゃん | 2006年12月20日 (水) 20:10

すごいピアニストですね。
私だったらすぐ諦めてしまい、ピアノから
遠ざかってしまうと思います。
左手のみの演奏が出来るようになるまでに
ものすごい努力があったのでしょうね。
ホント素晴らしいですね。

投稿: あきあき | 2006年12月20日 (水) 21:02

素晴らしい!と言ってもなかなか難解な内容かも知れません。ようこさんのご精進を期待しております。

投稿: Libra | 2006年12月20日 (水) 21:59

>ゲン兄ちゃん
舘野 泉さんをご存知の方がいらしてうれしいです。
テレビで見た通りのとても品のよい紳士でした。

>あきあきさん
あきらめずに続けた精神力がすごいと思いました。
指使いなどを工夫したのだろうな・・・と
思いながら演奏の様子を見ました。

投稿: ようこ | 2006年12月20日 (水) 23:21

>Libraさん
ショパン名曲集のコンサートではないので、演奏の内容は極めて難解でした。
ブログでは、左手で弾くピアニストが活動していることが伝わり、
珍しい曲目を記録できればよいと思って書きました。

☆お知らせ
アンコールの『アヴェ・マリア』についてです。
5月に岡本知高さんのコンサートで歌を聴いたことを思い出しました。
このコメントのURLから試聴できます。

投稿: ようこ | 2006年12月20日 (水) 23:26

私が聴いた「アヴェ・マリア」は鈴木慶江さんでしたが、岡本さんのもいいですね。

舘野さんの弾くシベリウスの小品は何度聴いてもいいですね。
「左手の文庫」には私も少しばかり納めてきました。ガサッというほどではありませんが・・・。
いい曲、そしていい若手が出てくれると嬉しいですね。   (こちらは、私の日記のコメントからの再掲)

投稿: hiko1 | 2006年12月21日 (木) 01:31

舘野泉さんは、一度聞いてみたいと思ったピアニストの一人です。
ようこさんの素晴しい解説&感想で、曲調が伝わってきました。
ますます興味がわいてきました。

投稿: しお | 2006年12月21日 (木) 02:05

>hico1さん
試聴してくださってありがとうございます!

>しおさん
舘野泉さんを聴きたい方からのコメント、うれしいです!

舘野泉さんはクラシックの技術に裏打ちされた
幻想的な演奏とでも言えばよいでしょうか、
都合つけるのも大変だと思うけれど、ぜひ一度
指先の見える位置からの鑑賞をオススメします。^_^

投稿: ようこ | 2006年12月21日 (木) 14:28

まいどどうもです。

TVのCMで、迫力ある曲(多分スクリャービン)を左手だけで演奏するシーンを見て衝撃を受け、勢いでCD「風のしるし」を買いました。

「左手のための2つの小品」は、上記CDに「前奏曲」「夜想曲」がありましたが、ようこさんが聴いたのはこれのことかな?

片手であれほどの演奏、というのも衝撃の一つでしたけど、やっぱり自分が左利きだからってのも多分惹かれた理由かも。

投稿: ヲバラ | 2006年12月21日 (木) 20:10

>ヲバラさん
いつもありがとうございます。

CMで演奏シーンが流れていたのですか!CDを買ったとはさすがです。
CDのスクリャービンの曲は私が聴いたのと同じ曲のようです。
演奏会でもらったパンフレットによると、難しいので両手で弾く人もいるのだとか。

私もヲバラさんと同じく左利きなので、左手だけの演奏に関心があります。
(買った楽譜の曲が弾けるようになったら、コツ!?を披露したいと思います。)

投稿: ようこ | 2006年12月22日 (金) 08:55

ああ!このコンサート終わってしまったぁ

行きたいなぁと思っていたけど
結構先にやるのかな程度で見ていたら
終わってしまったのかぁ

うう、残念!

でも感想が詳しく書いてあってとても興味深く読ませてもらいました

ほぅほぅ、なるほど!

ありがとうーー♪

投稿: かげさん | 2006年12月22日 (金) 09:16

>かげさん
かげさんもですか!
私も「まだ先だー。」と思って行きそびれた公演数知れず・・・。
長々と感想を書いた甲斐がありました♪

投稿: ようこ | 2006年12月22日 (金) 09:26

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