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2006年11月15日 (水)

『父の威厳 数学者の意地』を読んで

先日、『父の威厳 数学者の意地』(藤原正彦著)を読みました。

お茶の水女子大学理学部(数学)の教授である

藤原氏との一方的な出会いは、『博士を愛した数式』(小川洋子著)の

本の後ろに掲載されている解説でした。

 

今年の一月に映画を観た後、ようこ夫が文庫を買ったので

パラパラとめくり、解説だけ読んでみるとテンポのよい文章が面白い!

小川洋子さんが数学の取材に来た話が書かれていました。

 

その後、たまたま書店で見つけた『数学者の休憩時間』で大いに笑い、

同じ作者の本を何度も読むことが少ない私が、今回の本を無事読了。

 

さて、この『数学者の意地 父の威厳』には短い作品が多数収録されています。

ユーモアあふれるグータラぶりを書いたものから

日本人の情緒を力説する作品、

ロンドンやコロラド大学留学時代のその国の伝統の話など、

その話題の幅広さにどんどん読み進んでしまいました。

 

また、両親(父:作家の新田次郎、母:作家の藤原てい)の負けず嫌いや

”女房”とのやりとりなど、笑いの中に温かい目線で

家族のことが書かれているので、心がほっとします。

 

藤原氏は、外国語が得意で理科が不得意。でもはよく読む。

人が思う理系のイメージとは離れているかもしれませんが

私の両親も読書ばかりしていて、うるさいことを言う代わりに

「本を読みなさい。」

とだけ言っていたので、理系に進学した私も共感できました。

 

いくつもご紹介したい作品があるのですが、

代表して『開いてみればたったの四曲』について書きます。

 

この作品を要約すると

”藤原氏の息子達が日本の唱歌をほとんど知らなかったので

次男(小学校四年生)の音楽の教科書を開くと、たったの四曲しかなかった。”

という話です。

 

私が小学生の頃も四曲ということはなかったと思いますが、

今知っている唱歌のほとんどはピアノを弾くボランティア活動で

演奏先の方たちからリクエストをもらって覚えたものです。

思いがけず、美しい日本語と季節感を味わうよい機会となりました。

 

本を読み、”日本の情緒を大切にしてこそ、国際人となり得る。”

といった考え方を知ることができました。

日本の唱歌の演奏、そして学習中のドイツ語の

両方とも続ける元気がふつふつと沸いてきました。 

 

追伸:藤原氏は都立西高の出身とのことです。隣の高校出身だったとは!

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コメント

こんばんは。初カキコです。
私の母も、文学少女がそのまんま大きくなったような人で
昔も今も、面白かった本を教え合ったりしてます。
母国語の美しさや素晴らしさを味わうのって大切なんだよなーと
ようこさんのブログを読んで、改めて思いました。

え?別に私が外国語の修学が苦手だからって
言い訳してる訳ではないですよ?もちろん…ごにょごにょ(汗)。

投稿: ぶち | 2006年11月15日 (水) 21:35

ようこさん
北海道で津波警報のスーパーが流れたので
義父の看病で帰っている友人に
電話をしたら偶然 同じ本を読んでました。
藤原正彦さんの本は他にも読んでいるようです。
「知ってるよ」と言ってしまったので
読まなくちゃ!です
読む本がたくさん増えました。

投稿: naooba | 2006年11月15日 (水) 21:37

>ぶちさん
いらっしゃいませ~。
親子で面白い本を教え合うとは、素晴らしいですねぇ。
読書が遅い私はもっぱら教えてもらう方ですが
本屋に行くのは好きで週に3,4回は行っています。

ほぉ、ぶちさんは外国語習得が苦手(^^?
いずれにしても、母国語を大切にしてこその外国語だなぁと私も思いました。

>naoobaさん
Yahoo!にも津波警報がトップに出ていたので、地図をチェックしたところです。
大丈夫だったのでしょうか。
それにしても・・・同じ本を読んでいる方がいたなんて、うれしい偶然です。
うちの近所の書店では、藤原正彦さんの本が分かりやすいところに置いてありました。^_^

投稿: ようこ | 2006年11月15日 (水) 22:12

国家の品格は読みました。音楽は、半分は家庭教育の範囲と思っています。子守歌、聴かせる唄、いろいろあります。結果として、親の影響は子孫に伝わります。百人一首然りです。情緒の半分以上の感性は家庭教育にあるのではないか。貴女の感性は斯様に培われたのでせう。それでも、家庭の範囲を超える知識は学校に行かないと習得できません。学校教育の大切さはそこにあります。

投稿: Libra | 2006年11月15日 (水) 22:21

ようこさん おはようございます。
私は学生の頃、新田次郎さんの本を読んで
山登りをした事なんか全然無いのに、わくわくした事がありました。

映画にもなった有名な「八甲田山死の彷徨」や「孤高の人」「強力伝」
など、それこそ自分も険しい山に登っているような気になる
迫力ある描写でした。高原や山が好きになり、よく旅行しました。
もちろん八甲田山にも行きました。真夏でしたけどね。

ようこさんが紹介された
藤原正彦氏の本も是非読んでみたいです。

投稿: hiro118 | 2006年11月16日 (木) 09:13

>Libraさん
なるほど、たしかに幼少の頃からレコードをかけてもらったり
ピアノ教室に通ったり、劇場に連れて行ってもらったりしました。
しかし、家庭では教えられない理系の科目は学校などで教えてもらいました。
『国家の品格』は未読。月に一冊が目標なので、どこかのタイミングで挑戦したいです。

>hiro118さん
そうですか!新田次郎作品を読んで山登りなどをするようになったのですね。
藤原氏の作品の中にも、気象庁を辞めて作家一本になった父のことがよく出てきます。
私は新田次郎さんの本をまだ読んでいないので、こちらも是非読みたいと思います。
(naoobaさんみたいに、読みたい本が増えてきました!)

投稿: ようこ | 2006年11月16日 (木) 10:51

ようこさんへ

 私も藤原正彦さんのファンです。『国家の品格』を読んでから、(家にあった)昔書かれた『若き数学者のアメリカ』を読みました。
 新田次郎氏の本は『八甲田山死の彷徨』『アラスカ物語』を、藤原ていさんの本は読んでいませんが、昔テレビで、引き揚げの苦労体験をドラマ化されたものをみました(題は忘れてしまいました)。

 家族揃って感性豊かで素晴らしい一家ですね。

 それから日本の唱歌があまり歌われなくなって残念です。
 
 昔ご近所に音楽の先生がいらして、近所の人に誘われ、入園前の娘と一緒に通っていました。そのときにずいぶんいろんな歌を歌ったような気がします。先生にボランティアで老人ホームなどに行って歌って欲しいと言われたのですが、その後すぐに仕事に就いたこともありそのままになっています。
 ボランティアに行く前に、歌ってもらう方になりそうです(苦笑)。

投稿: Gute Reiseの家主 | 2006年11月16日 (木) 11:08

ようこさん

えへへ・・。
説明不足でした。
山には車・ケーブルカーで行っていますのよん。

投稿: hiro118 | 2006年11月16日 (木) 14:19

> Gute Reiseの家主さん
たくさん読んでおられるのですね!
新田次郎『八甲田山死の彷徨』を読もうかと思い始めました。
引き揚げの苦労については、今回ご紹介した本にも出てきましたが
ドラマ化されていたとは知りませんでした。

人前で歌が歌える人はうらやましいです。(私は歌はちょっと・・・。)
ボランティア先にも教養豊かな方がたくさんいるので、
弾く方にとってもよい緊張感となり、ためになっています。
Gute Reiseの家主さんもそんな聴衆になりそうですね!

>hiro118さん
ああああ、すみません!私の早合点でした。(^^;;
ケーブルカーの斜め感、大好きです。あれば必ず乗ってしまいます。

投稿: ようこ | 2006年11月16日 (木) 16:08

読んでみました。父君・新田氏のことを書いたくだりが面白かったです。作家になるまでのいきさつ、有名になってからの日常は?ベストセラーになった引揚者家族のその後の生活は?などなど短い章に詰まっています。個人的には(羽田)東京国際空港のエピソードに当時の外国への玄関口だった羽田の賑わいを思い出しました。

投稿: マーライオン | 2006年11月21日 (火) 22:08

>マーライオンさん
読んだ方のコメントうれしいです。
人間味あふれる数学者が育った家庭の話を私も面白く読みました。
そのうち新田次郎作品の感想をアップできるようがんばって読みます。

投稿: ようこ | 2006年11月22日 (水) 00:22

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