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2006年2月25日 (土)

『アルジャーノンに花束を』(2/25ソワレ)観劇

ささいなことが覚えられなかったり、大切なことを失念したりすると

「もっと頭がよければなぁ・・・・。(ため息)」と思うことがあります。

 

そんな私は今日、ようこ夫と一緒に『アルジャーノンに花束を』という

日本オリジナルのミュージカルを観ました。

会場は、おもちゃで有名な銀座のビルにある博品館劇場です。

 

学生の頃、ピンク地に花束の絵が描かれた表紙が印象的な

ダニエル・キイスの原作を読みました。

 

幼児並みの知能の大人が、ねずみのアルジャーノンと同様に

科学者の手によって実験的に知能を高められ、

しかしまた、知能が退行していく・・・という物語です。

本の字面を追っていくと、ひらがなばかりだったのが

どんどん漢字が増えて難しくなっていく様子が

うらやましくもあり、怖くもありました。

 

主人公のチャーリー・ゴードン役は、

『エリザベート』のルドルフ役を好演した浦井健治。

原作から想像していたよりも大柄な感じがしたものの、

最初の 「かしこくなりたい」 と思うときの純粋な笑顔を観ているうちに

どんどん私の中でチャーリーになっていきます。

 

舞台装置は抽象的で、いくつか小道具を使うものもありましたが

大部分は”そこにものがあるように”動作するつくりになっていました。

(演出:宝塚歌劇団 荻田浩一)

初心者ではありますが(^^ゞ、落語的・・・とも思いました。

 

浦井健治の歌は高音の少年のような伸びる声が魅力的。

もっと複雑な感情を歌で表現する日が来るのが楽しみです。

 

チャーリーの母親役の朝澄けいは初見でしたが

神経質な母親ぶりがよく出ていたと思います。

 

知能を高める実験をする教授役と

チャーリーが働くパン屋でお金をごまかす従業員の2役を演じた戸井勝海。

重苦しい低めの声と、いい加減な雰囲気を出した声の使い分けが見事!

 

博士とチャーリーの父親役の宮川浩は、歌の声量と音域の広さに驚きました。

父親のシーンは味わいがあり、特に印象に残りました。

 

他のキャストも役の変わり目を工夫しつつ、個性的に演じていました。

 

知能が高くなったことにより、人々の悪意

今まで知らなかった感情を知り、悩むチャーリー。

そして、知能が退行していく恐れと哀しみの末の感動的なラストシーンを通して

人間の幸せとは何だろうか?と考えさせられるミュージカルでした。

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コメント

この物語、好きです。涙、涙、だけどね。
ダニエル・キイスの本、ビリーミリガンとかの多重人格物も呼んだけど、アルジャーノンが一番好き、かな。
ミュージカルを見て、原作にも興味を盛ってくれる人が増えるといいなー。

投稿: TK | 2006年2月26日 (日) 14:54

私も、原作を読んだことがあります。
人が人の手によって、変わっていくこと。
それでいいの?答えを出すのは難しい。
でも本当に恐いのは、人の心ではないかなぁと思いました。

投稿: うさちゃん | 2006年2月26日 (日) 17:20

世界的ベストセラーの日本オリジナルミュージカル化という点に興味を持ちました。シリアスなドラマになっていたと思います。ネズミのアルジャーノンが象徴的な役割を果たしていました。

投稿: マーライオン | 2006年2月26日 (日) 21:50

僕も大学のとき原作を読みました。ピンクの装丁がキレイでしたね。

知能が劣っているところを原作では英単語のスペルミスで表現しているのですが、ソレを和訳するときどうすればよいか悩んだ、とかいう訳者あとがきが確かありました。

一言で言うと「獲得と喪失」というテーマでしょうか。

同じテーマの、僕の好きな小説:老人と海(ヘミングウエイ)を思い出しました。

投稿: YAMA | 2006年2月26日 (日) 23:28

>TKさん
いろいろ読んでいるんですね。(感心!)
私はタイトルの意味するところを忘れてしまっていたのですが
ミュージカルを観て思い出しました。
本を読んだときの感動を再び体験することができてよかったです。

>うさちゃん
うさちゃんも読んだのですね。
この物語を通して、一旦良くなったようにみえても
また退行することもあるんだ・・・という教訓も得ました。
本当に、答えを出すのが難しいことが多いです・・・。

>マーライオンさん
人間が演じるねずみが、チャーリーに戻っていくシーンが心に残っています。
ミュージカルをシリアスに作ることもできるのだな、と思った作品です。

>YAMAさん
日本語の訳が上手くできていたので、そもそも原文はどうなっているのか?と
不思議に思っていました。
まさに「獲得と喪失」。会社を辞めたときに強く感じました。
機会を作って『老人と海』も読みたいと思います。

投稿: ようこ | 2006年2月27日 (月) 00:05

皆さんとは些か視点が違いますが、二つの事を申し上げたい。一つは知能の向上とは逆で知能の低下、失われる記憶です。アルツハイマーです。既になってしまった方の日記が後から出てきました。そこには、失われ行く記憶の自覚とその寂しさについてでした。とても涙無くしては読めない話です。記憶がまだら模様になり、初めてその病気の自覚、そして続いてやって来る自分の人生の黄昏と恐怖。もう一つは、こち亀の証人喚問君です。高度に人の意図を解読する機械を開発して遂に人間社会が崩壊する話です。共に人間の知能と個人の幸せと人間社会を問いかけています。

投稿: リブラ | 2006年2月27日 (月) 22:51

>リブラさん
なるほど、記憶を失う恐怖というのは想像を絶するものだと感じました。
知能が向上することが必ずしも良いことかどうか、というテーマは
『こち亀』にも出てくるのですね。考えさせられます。

投稿: ようこ | 2006年2月27日 (月) 23:22

本日(27日)ソワレを鑑賞しました。
演出がよかった!
再演、再々演が待たれます(気が早い・笑)。
浦井さん始め、若々しいキャストの中、
戸井さん、宮川さんがガッチリ締めてましたね。

>TKさん
ロビーでは既に文庫本は完売、ハードカバーも
飛ぶように売れていました。

>リブラさん
「明日の記憶」(荻原浩・著)は、若年性アルツハイマーを
テーマにした小説。世代や性別を越え、オススメしたい一冊です。

投稿: あきりん | 2006年2月28日 (火) 00:05

こんばんは。
ナマ戸井さん、いいなぁ~。
2度ほど彼の舞台を見たことがあります。


投稿: みぃ | 2006年2月28日 (火) 00:30

>あきりん
ソワレ鑑賞お疲れ様でした。演出がよかったですね。
(思わずブログの記事にも名前を載せたぐらいです。)
原作の大切な部分を損なわず、想像させる部分も残し・・と
今まで見たことのない手法に思いました。
やっぱり本が売れているのか・・・。

>みぃさん
いろいろご覧になっているみぃさん。戸井さんの舞台もなのですね。(^^)
私はミュージカル初心者の頃、何を観てよいか分からなかったので
戸井さんが出演するもの(+エリザベート)をひたすら順番に観劇しました。

投稿: ようこ | 2006年2月28日 (火) 00:48

>あきりんさん ご紹介どうもありがとうございます。読んでみたいのですが、読みたくない様な複雑な年齢です。私が例として挙げたその方は、既にすっかり記憶を失い、親子も分からず、施設で天真爛漫に暮らしているそうです。

なお、「証人喚問君」は「こち亀」の132巻「本音で行こう!」に載っています。ご参考までに。

投稿: リブラ | 2006年2月28日 (火) 13:02

>リブラさん
「こち亀」132巻ですね。機会があったら、読んでみたいです
(ちなみに、こち亀のキャラでは日暮熟睡男が好きです)。

他の書物や、人から聞いた話ですと、
老化を遅らせるには、快食・快眠・快○。
ストレスをためず、好きなこと、自分にとって楽しいことを
続けることが重要だそうです。
いわゆる「生きがい」を持つことでしょうね。
そして、笑顔でいることも大切だとか。
お互い、明日も笑顔で!(^^)

投稿: あきりん | 2006年3月 2日 (木) 22:23

こんにちは(^^)
先日は感想コメント頂戴し本当にありがとうございました!
私は3月1日の昼の部のみですが観劇してきました。
なんとなくしかお話も知らず好きなキャストが出るので見に
行った舞台だったのですが...凄くて圧倒されました...
ようこさんのお好きな戸井さんの演技&歌&舞台での存在感
に震えました!拝見できて本当に良かったと思います!!

投稿: あややんぱぁ | 2006年3月 3日 (金) 18:04

>あややんぱぁさん
いらっしゃいませ♪コメントありがとうございます。
私も原作を読んだのですが、細かいところは覚えていませんでした・・・。
でも、ミュージカルは原作を知らなくても理解できると思いました。^-^
それぞれの出演者が、その個性を生かしてがんばっていましたね!

投稿: ようこ | 2006年3月 4日 (土) 00:34

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